薬を今まで一度も飲んだり、使ったりしたことのない方はたぶんいないでしょう。私は健康だから薬とは無縁と思っていても、湿布や塗り薬を使っていたりするものです。せっかく薬を飲んだり、使ったりするのですから、効果的に使いたいものです。ここでは薬の種類、それぞれの薬の飲み方、使い方を説明します。
薬には飲んで作用する内服薬と湿布や軟膏などの外用薬があります。また、今は病院で注射するのではなく、自分で注射する注射剤もあります。どの薬も必ず使い方が指示されます。この指示は薬を効果的で副作用が出ないようにするためのものです。薬が開発される間に、どの様に体に作用させるのがいいのか、どの量が適していて、いつが効果的なのか、どれくらいの量になると副作用がおきやすくなるのかなど、様々な試験が行われます。そのデータを基に皆さんへの指示が決められています。
内服薬は、当然ですが体の中に入って作用します。いろいろな形や飲み方の薬があります。子供が飲みやすいようにシロップ剤や水に溶ける粉薬。皆さんが目にすることが多い錠剤やカプセル剤。錠剤やカプセル剤でも1日1回服用の薬、1週間や1か月に1回飲めばいい薬、口の中で溶けて水なしでも飲める薬があったりもします。細かく分けて説明すると本になるくらい、種類があります。大切なのは、どの様に体の中に入っていくのが効果的なのかを考えて薬の形を決めているということです。ですから、割ってはいけない錠剤やカプセルから出してはいけない薬もあります。錠剤が大きすぎ、カプセルや粉薬は苦手など、薬の形について要望がある時は薬剤師に相談してください。
外用剤も同じです。湿布のように貼った方がいいのか、塗り薬がいいのか、吸入剤がいいのか、トローチのように舐める薬がいいのか、それぞれ意味があります。内服薬では長く効かないので、外用薬にした薬もあります。
自分でできる注射剤ができたことで、通院しなくてはできなかった治療が自宅でできるようになりました。また内服薬や外用剤ではできなかった病気をコントロールすることができるようにもなりました。
さて、内服薬では起床時・食前・食直前・食後・寝る前など、飲む時点が食事や生活リズムを基本に指示されているものがほとんどです。起床時は1日で一番胃の中が空っぽです。このタイミングを狙って服用する薬です。食事の影響を受ける薬が代表的です。ですので、服用してから30分くらいは食事しないようにと指示される薬もあります。寝る前は眠剤や眠気がでる薬。下剤は効いてくるまでの時間を考え寝る前と指示されることも多いです。食前は食事する時に薬が効いているように設定されている薬も多く、だいたい食事の30分くらい前に服用します。食直前の薬は食事と一緒の方が吸収の良い薬や、糖尿病の薬の様に薬が効いてくる時に空腹だと効きすぎてしまう薬などがあります。食後の薬は食後の方が胃など消化器への負担が少なくなるとの理由があります。その他に、食事に合わせて薬を服用することで飲み忘れが少なくなるということもあります。どの薬もなぜ、その時間に服用するのかを知っていると、飲み忘れたときや生活のリズムが崩れたときにどう対処するといいかがわかります。ご自分の飲んでいる薬について、どんな理由で指示されているのかを一度薬剤師に相談してみるといいでしょう。
外用薬は、食前・食後などの決まった時点での指示は少ないと思います。1日1回だと朝がいいのか、夜がいいのか。1日2回だといつがいいのか。軟膏を手に塗ったが手を洗って大丈夫か。疑問に思われることもあるでしょう。生活リズムに合わせることが多いので、薬剤師と相談してみてください。
個々の薬について詳しく説明することは難しいので、基本的なことをお知らせしました。「くすり」は逆から読むと「りすく」です。正しく使うことで「くすり」になります。多く飲んだから良く効くといったものではなく、指示通り服用することで効果を発揮します。そして、その効果を引き出すために私たち薬剤師が存在しています。薬の飲み方・使い方がわからない時、判断に困った時には薬剤師に相談して、薬を効果的に服用してください。