皆さんは「お薬手帳」という言葉を一度は聞いた事があるかと思います。
お薬手帳は現在薬局利用者の約9割の方に利用されており、すでに身近なものになっています。
このお薬手帳には、調剤日、医療機関名、薬局名、薬剤名、用法・用量、服用に際しての注意すべき事項などお薬に関する必要最低限の情報が記載されています。
医師や薬剤師はこれらの情報をもとに今回の処方内容と現在の服用薬を見比べ、同じ薬効の薬がないか、飲み合わせの悪い薬はないかなどを確認します。また、過去の受診記録と処方薬が縦覧できるので、おおよそではありますが患者さんの体調変化も読み取ることができます。
このお薬手帳がある事で、医師も格段に処方がしやすくなり、薬剤師も安心して調剤する事ができます。副作用が発生した時も、過去の服用薬が分かるので原因究明や予防対策に役立てる事ができます。このように今では各医療機関へお薬の情報を伝える手段としてお薬手帳はなくてはならないものになっています。
しかし、お薬手帳の本来の機能を発揮する為には、患者さん本人が必要性を理解しご自分の為に活用する事が必要になります。
ここで正しいお薬手帳の使い方についてご紹介します。
- 日付順に処方されたお薬の情報を記載する事
- 病院ごとにお薬手帳を分けず、必ず1冊にまとめる事
- 受診時は必ず持参し、処方医に見てもらう事
- 処方箋が出たら薬局で必ず提出し、同じ薬でも毎回記録してもらう事
- OTCやサプリメントを購入する際や健康に関する相談がある時もお薬手帳を持参し薬剤師に見てもらう事
- 副作用があった薬・アレルギー歴・常用している市販薬・サプリメントがあれば、お薬手帳の記録欄に記載する事
- 服用して感じた事や医師・薬剤師に伝えたい事があれば記載する事
- いつも決まった場所に保管し、家族もわかるようにしておく事
- いつも携帯し、旅行や災害時など自宅を離れる時も忘れず携帯する事
以上の点に注意し活用してください。
薬の名前をきちんと伝える事ができるので必要ないという方もいますが、このお薬手帳が本当に役立つ時は、何かあった時です。今のように健康ではっきりと自分の伝えたい事が伝えられるとも限りません。場合によっては意識がない事もあるかもしれません。日頃から大切に管理しているお薬手帳があれば、緊急時には必ず役立つはずです。ご自分の健康の為にお薬手帳をご活用して頂ければと思います。
現在、スマートフォンを活用した電子お薬手帳も普及してきております。スマートフォンは常に持ち歩くものなので、外出先や旅行先で急に体調を崩したりしても服用薬の情報を伝える事ができます。また、処方箋の写真をかかりつけ薬局に送信したり、お子様やご両親の服用薬も一緒に管理する事もでき、便利な機能が多くあります。スマートフォンをなくした場合でも、外部のサーバーに記録を残す設定をしておけば再度読み込む事が可能です。従来の紙のお薬手帳と電子お薬手帳にはそれぞれ長所と短所がありますので、上手にご活用頂ければと思います。何かご不明な点があれば、かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局にご相談ください。